独唱:ニコライ・グレース(テノール)
1965年の映像。

ВО ПОЛЕ БЕРЕЗОНЬКА СТОЯЛА

白樺は野に立てり
Музыка: Русская народная песня

ロシア民謡
Во поле березонька стояла,
Во поле кудрявая стояла.
Люли, люли, стояла,
Люли, люли, стояла.

野に白樺が立っていた
野によく茂った白樺が立っていた
リューリ、リューリ、立っていた
リューリ、リューリ、立っていた
Тары, бары, растабары,
Снеги белы выпадали,
Серы зайцы выбегали,
Охотнички выезжали.
Всех собак своих спускали,
Красну девку испугали.
Ты, девица, стой!
Стой, стой, стой!
Красавица с нами песню пой, пой!
Чувиль, мой чувиль, виль!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!


ぺちゃくちゃおしゃべり、無駄話
白雪降って
灰色うさぎが走り出りゃ
狩人、馬駆り
犬を皆放って
きれいな娘を驚かす
娘さんよ、止まれ!
止まれったら止まれ!
別嬪さんよ、一緒に歌おう、歌おう!
チュヴィリよ、私のチュヴィリよ!
何とも不思議な私の祖国よ!
何とも不思議な私の祖国よ!
Некому березу заломати,
Некому кудряву заломати,
Люли, люли, заломати,
Люли, люли, защипати.

誰も白樺を手折らない
誰もよく茂った白樺を手折らない
リューリ、リューリ、手折らない
リューリ、リューリ、毟り折らない
Тары, бары, растабары,
Снеги белы выпадали,
Серы зайцы выбегали,
Охотнички выезжали.
Всех собак своих спускали,
Красну девку испугали.
Ты, девица, стой!
Стой, стой, стой!
Красавица с нами песню пой, пой!
Чувиль, мой чувиль, виль!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!


ぺちゃくちゃおしゃべり、無駄話
白雪降って
灰色うさぎが走り出りゃ
狩人、馬駆り
犬を皆放って
きれいな娘を驚かす
娘さんよ、止まれ!
止まれったら止まれ!
別嬪さんよ、一緒に歌おう、歌おう!
チュヴィリよ、私のチュヴィリよ!
何とも不思議な私の祖国よ!
何とも不思議な私の祖国よ!
Пойду я в лес погуляю,
Белую березу заломаю,
Люли, люли, погуляю,
Люли, люли, заломаю.

私は森へ散歩に行こう
白い白樺を手折りに行こう
リューリ、リューリ、散歩しよう
リューリ、リューリ、手折ろう
Тары, бары, растабары,
Снеги белы выпадали,
Серы зайцы выбегали,
Охотнички выезжали.
Всех собак своих спускали,
Красну девку испугали.
Ты, девица, стой!
Стой, стой, стой!
Красавица с нами песню пой, пой!
Чувиль, мой чувиль, виль!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!
Eще чудо, перво чудо, чудо родина моя!


ぺちゃくちゃおしゃべり、無駄話
白雪降って
灰色うさぎが走り出りゃ
狩人、馬駆り
犬を皆放って
きれいな娘を驚かす
娘さんよ、止まれ!
止まれったら止まれ!
別嬪さんよ、一緒に歌おう、歌おう!
チュヴィリよ、私のチュヴィリよ!
何とも不思議な私の祖国よ!
何とも不思議な私の祖国よ!



 邦題は「小さな白樺」とか「野に立つ白樺」とされることもありますが、私が一番馴染んでる「白樺は野に立てり」で押し通します(そういや昔、『今時、「ツァラトゥストラはかく語りき」なんて言うな、「ツァラトゥストラはこう語った」と言え!』などと宣う御仁がいたことを思い出しました)。
 この曲も古くから広く歌われてきた民謡で、「通りは吹雪が吹いている」で紹介した1790年刊の「リヴォフ・プラーチの民謡集」にも収録されています(下記リンクPDFファイル参照。62曲目、原書の157~8ページ)。メロディーだけ聴いてると、可憐な白樺を歌った抒情歌、といった印象が強いのですが、長い版の歌詞には、老いぼれた旦那さんとの結婚生活にほとほと嫌気がさした奥さんが、旦那を家から追い出して若い愛人を連れ込む様が歌われるという…。普通はそこまで歌わないようですがね(下記リンクa-pesni参照)。
 アレクサンドロフ・アンサンブルの録音では、当然「愛人」云々は歌われず、最初の3番のみ歌われています。その代わりに本来の「白樺は野に立てり」の後に、テンポの速い別の曲を付け加えて緩急の妙を見せています。自分は最初に聴いたのがアレクサンドル・アレクサンドロフ編曲ヴァージョンだったため、ハンガリーのチャールダーシュと同じ様なものかとずっと思ってました。でも、この形以外で聴いたら物足らない気がします。伊東一郎先生によれば、テンポの速い部分は兵士の戯れ歌を取り入れたのではないか、とのことです。
 「白樺は野に立てり」のメロディーは、ロシアの作曲家に好まれその作品に取り入れられてきました。いわゆる「ロシア五人組」の指導者格として有名なミリー・バラキレフ(1837-1910)は、初期の作品である「3つのロシアの主題による序曲第1番」の第2主題として使っています(第3主題はこれまた有名な「ピーテル街道に沿って」)。しかし、何と言っても有名なのは、ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)の交響曲第4番の第4楽章でしょう(両曲とも下記リンクをご覧ください)。


ヴァシリー・パンコフ(テノール)独唱による1937年モスクワにおけるセッション録音。
リヴォフ・プラーチの民謡集(Собрание русских народных песен с их голосами、PDFファイル)
長大ヴァージョンの歌詞 a-pesni

独唱:ヴァディム・アナニエフ(テノール)、バラライカ独奏:コンスタンティン・イグナティエフ
2011年2月23日、モスクワ、チャイコフスキー・ホールにおける祖国英雄の日演奏会の映像。


独唱:コンスタンティン・リソフスキー(テノール)
1960年3月~4月、フランス、パリのスポーツ宮におけるライヴ録音。フランス、LE CHANT DU MONDEレーベル制作。


独唱:イヴァン・ディデンコ(テノール)
1963年3月8日、イギリスにおけるEMIレーベルへのセッション録音。


独唱:ニコライ・グレース(テノール)
1960年代半ばのセッション録音。


参考:バラキレフ 3つのロシアの主題による序曲第1番
スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団。1978年のセッション録音。


参考:チャイコフスキー 交響曲第4番第4楽章
ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団。
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